ストーリーとバックグラウンド
ストーリー
悪夢のような夜が開けた。しかし、朝陽に照らされ浮かび上がる光景は、未だ悪夢が過ぎ去った訳では無いことを告げていた。昨日までは人々が集い、恋人たちが愛を語り合ったその場所には瓦礫の山が広がり、そこかしこで無数のうめき声と赤ん坊の力ない泣き声が聞こえるのみ。そして、やがてはそれさえも朝の光に溶け込み、消えていった。
まさかこんなことになろうとは。
田舎町で小さな工場を営む兄弟にとって、「連邦の兵器開発主任へ」という依頼は抗うことの出来ない魅力を持っていた。ただ、無邪気に速度や馬力を競い合い、自ら手がけた機械たちの性能争いに夢中になっていたあの日。設計するものが兵器へと変化しても、あの日と何ら変わることはないと思っていた。それが効果的に人の命を奪うためだけのものでしかないことに気付こうともせずに、この手で数々の兵器達を送り出してきた。
その結果がこれだ。
今目の前にあるのは厳しい現実。ひたすら逃げてきた現実が目の前に横たわっている。しかし、もう逃げはしない。自ら生み出した兵器を、その手で葬りさる。その行為に正義はないと知りながらも、エンジンの回転と共に高まる鼓動を抑えることが出来ない。いいだろう。自身の責任を果たすのに、大義はいらない。ただ、今は出撃の時を待とう。今までの自分がしてきたことのために。そして、これからの自分が歩いて行けるように。
シチュエーション
ウェイン兄弟は大陸西にイチする半島南端の田舎町で生まれた。父の影響もあり幼い頃から機械いじりに親しみ、成人してからも父の残した小さな自動車工場を細々と経営する傍らで、数々のオリジナル車両や航空機を生み出していった。そしていつしかその噂は連邦政府にまで届くようになる。
兄弟の斬新な発想と大胆な設計は、連邦に「開発主任」という異例の待遇で迎え入れられる事になり、2人は豊富な資金の元その開発スピードにも磨きがかかった。そして、彼らの生み出す数々の新兵器は連邦に「領土拡大」の野望を抱かせるに十分なものであり、時をおかずその野望は実行に移されることとなった。
遅ればせながら自分たちのしでかしてきたことに気づいた2人は、試作中の4機の高性能戦闘爆撃機を持ち出した。我が身と共にそれを隠すことにより、連邦の進撃を止めようとしたのである。しかし、一旦始まった戦争がそんなことで終わる訳もなく、とうとう戦禍は彼らが身を隠していた町にまで伸び、2人は自らの甘さと戦争の現実を目の当たりにする。
ロケーション
時は産業革命から数十年が過ぎ去った頃。場所は「連邦」と呼ばれる軍事国家とその周辺。多くの工場が、海や空を汚染していても、まだ大部分が美しい自然に覆われている。
化石燃料を利用して動く内燃機関が生まれて20年ほどしか経たず、一般的なテクノロジーはまだまだ低い。が、ウェイン兄弟をはじめとする才能と「連邦」の資金力の融合により、軍事技術は恐ろしく発達している。
敵
その大陸の約半分をしめる15の州からなる「連邦国家」。産業革命以前の時代より、領土を巡って多くの戦いがあったが約20年ほど前に一つの連邦国家が形成され、現在に至るまで大きな戦争はなかった(小競り合い程度の物は絶えることはなかったが)。しかしミリタリーバランスの崩壊により大陸全土の占領を目論見、宣戦布告。他国に対しての圧倒的なアドバンテージを保っている。
その軍事的中枢は要塞化されており、いかなる者の侵入も許さない。